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その昔、大阪中央図書館に入り浸っていた。
今もどうか知らないけど、当時そこは浮浪者の憩いの場で、
用も無いのにうろついているのは敗残者ばかりだった。
ある日。浮浪者風の中年と小汚いヤンキーがもめていた
といっても短い間で、殴り合いになることもないただの怒鳴り合いだった。
しかし、逃げようとする中年の服をヤンキーが掴み
前ページのハオウのようなことを言ったのである。
「聞けコラ!俺はなぁー!」「俺は…………」
二秒くらい固まってたヤンキーの力が弱まったのか
中年は服を振りほどき、自分の乗ってるエレベーターに逃げて来た。
しかし、ヤンキーは追うこともなく、無言で睨むだけだった。
中年はふうふう言っていたが、これも無言だった。
やがて扉が締りエレベーターは上昇していったが、
自分の気持ちは「俺もいったい何なんだ……」というドロ沼へと沈んでいった。<終>
という体験が元になって、描いたシーンですが
よくよく考えると、「聞けコラ!俺は○○だ!」って啖呵きるのは
何者でもない敗残者でなくてもきつそうですね。