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前頁
デジタルコミック 胎界主
ソロモンヘイムにいたという
奴隷が紡いだ
寓話のひとつでしょう
うん
二千年以上も昔の
ギリシャで創られ
原典は失われてしまったが
その翻訳が世界中に
広まっている
『イソップ寓話』の一つだ
一読して
勤勉なアリが報いられ
怠惰なキリギリスが敗北する
教訓を説いた寓話と
思われているが
これはそんな
単純な話ではない
これを読んだ者なら
まず
アリの生き方を選ぶ
キリギリスのように
惨めに死にたくはないからね
ピュアだって
アリが正しいと思うよ
問題はここからだ
自分をアリ側だと思っていても
日々
その巣穴へと運んでいる「実」が
実はキリギリスの歌の様に
空へと消える「塵」ではないと
どうしていえるのか
何をもって
自分が冬を越えられる「実」を
運んでいる
正しいアリだと
いえるのか
そして
「実」を運ぶ事すら出来ない
キリギリスが生きる術とは
アリの下僕になることか
それとも全てを諦めて
歌を歌って誤摩化す事か