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カフカ”不可”

 
ある朝、主人公グレーゴル ザムザが目覚めると巨大な虫になっていた……

カフカの小説『変身』。そこは有名なんだけど、で、結局どーなったのよ?
なんとなく気になって読んでみた。

以下、いつものごとくネタバレです。
俺のように単に結末・要点だけが知りたい方のみ、お読み下さい。

  
え〜……結末を申しますと
グレーゴルは巨大な虫のまま、くたばります。(おわり)

ではなんなんで、このあらすじからどんなドラマがあっかと申しますと


グレーゴルは父母妹の三人の手を借りて、その原因を追求し
人間に戻る方法を発見するもあと一歩というところで失敗し果てる。
だが口元には笑みがこぼれていた……
(正統風)

いえ……父母妹はなんの助力もしないどころか、グレーゴルを冷遇します。


グレーゴルは、その父母妹に宣戦布告する。怒り狂った巨大な虫!
目ン玉はまっ赤だよ!レッツ家族狩り!
(B級ホラー風)

あの……グレーゴルは心優しく、死ぬまで家族に気を使ってます。


その朝、冷たくなったグレーゴルに涙する三人。
いなくなって初めてわかる。
なんでもないようなことが幸せだったと思い知りました。
(感動教訓風)

それが、その……
父母妹の三人はグレーゴルが死んで、心底せいせいします。
ピクニックして終わります。


……………………ぉ……終わり?

それで、文庫本の解説を読みますと
カフカ自身、この『変身』が失敗作だっとこぼしてます。

そいつを先にいってほしかった!

では、この小説がつまんないかというと
いや、メチャメチャ面白かったとはいわないけど、
けっしてつまんない失敗作だともいえません。

まず、家族のひとりが巨大な虫になったという現実があった場合
医療機関や国の特定疾患優遇も期待できず
なにより世間体もあり、金銭面でも苦境にたたされているが
この意思の疎通のできない、兄かもしれない虫を
完全に介護放棄したり、捨てたり殺めたりできない
根っからの悪人でもない庶民のとるべき道というか
ずるずると続く、日常に取り込まれた非日常というのが描かれています。

そして、
実録!巨大な虫になるとはこういうことだ!
というのを実感できます。
身体を動かすと、細い足たちが意図せず動く。
牛乳よりもチーズが美味い。
お腹にガラスがあたると冷たくて気持ちいい。
床に這いつくばってるより、天井にひっついてるほうが
 心地よく、あんまり気持ちよくて落ちてしまう。
身体を方向転換させるとき、頭をもたげて前足が宙を描く様が
 それを見る人をイラッとさせるのがわかっちゃう。
などなど
それ実感できたからどうだって言われても困りますが。

結論は
カフカ”不可”ではなくカフカ”可”なんですが
なんかこうカフカワールドを体験したいんだけど
本読むのはたるいなぁという方は
監督: オーソン・ウェルズの『審判』がオススメです。
傑作です。
ホント面白かったですが
俺もコレを小説で読むのはさすがにいいや。

最後にカフカも
いくつかの短編を除いたすべての作品を燃やすよう遺言して死んだ
ブラック業苦な人でした。合掌。
 
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