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知らない人に道端で金を貸す(その一)

 
年明け早々、事件がありました。
 
初詣に行ったんですよ。午後三時頃の曇り空。
昨夜降った雪が少し残ってて、冷たい風が吹いてました。
本を読みながら、運動もかねて徒歩ってると
「すいません、すいません」
本の文章から現実世界に呼び戻されて振り向くと
薄手のジャンパーを着た50代のオジサンが早足でやってきて
この辺に駅はないかときいてきました。
この辺境の地にそんなものない。
1kmくらい行かないと無い。コンビニや交番はさらに1kmは行かないと
無いという地域情報を伝えると
オジサンは車がエンストして、昨晩は車の中で過ごしてた。
死ぬ ほど参ったって事を訴えてきました。
みると、確かに顔は寒さで赤くなっており、ブルブル震えていました。
一応、笑顔でした。
 
俺は、じゃそういうことでって感じで行こうとすると
「悪いけど、電車賃貸しくれませんか」と懇願してきました。
「二千円くらいあれば、片道たりるんですが」って。
この値段設定、絶妙でしょ?一万円はまぁ貸しませんよ。五千円も怪しい。
三千円はちょっと高い。知らない人に道端で金を貸す金額。
五百円〜二千円てところでしょうか。
そのMAX数値を敵は仕掛けてきました。
 
あっいい忘れましたが、コレ美談とかちょっとイイ話とかではありません。
寸借詐欺 の心理考察です。
続けて敵は、俺(カモ)に言ってきました。
「一時間くらいで自宅に帰れますから、そこから娘の車に乗って
またココに返しにきますので。エ〜と……今日の五時かな。
五時頃には、わたしアソコの電柱の側に立ってますんで。ケーキ持って」
ケーキ
「ええ、お礼にケーキ持って立ってますから、
五時頃またココに来てもらえますか?」
この間、ずっと笑顔で震えています。
(まぁ震えてるのは演技じゃなくホントに寒かったんですが)
いや、ハンバーグに目のくらんだハクション大魔王じゃないけど
そのお礼のケーキってやつ興味あるじゃないですか。
それってショートなの?丸ごとなの?チョコ?フルーティなやつ?
それはオジサンの生息地で最も美味い店のケーキだよな?
感謝ケーキ場合によっては命の恩人ケーキ
生クリームとかスポンジとかとは、
別の甘さが加味されてそうでしょ?
とにかくなんかスゴク美味しそうじゃないの。
ふりかえれば、話のなかに変なトコロが何カ所もあったんですが……。